出張の帰りの新幹線の中で、先日見た「愛を読む人」の原作本である「朗読者」を読みました。
文庫本の帯には当然のように、本年度アカデミー賞とケイト・ウィンスレットが、主人公とベッドで横たわる写真が付いていました。
ドイツ文学界の村上春樹といわれる、ベルンハルト・シュリンクのこの「朗読者」は、全250ページ余りで丁度、新幹線の帰路に一気に読める量でした。
原作は、ほぼ映画のストーリーと同じで、というより原作に忠実に映画の脚本が書かれたといった方が、より正確かと感じます。
自分自身の感性が映像に慣れてしまっている為か、どのページにも映画の断片画が脳裏に浮かんでしまいます。
そこで気づいたのは、主人公のケイト・ウインスレットが長い投獄生活で、お婆ちゃんになったシーン、原作ではよりリアルな加齢を表現していたのですが、映画のそれは…確かに白髪になって皮膚の皺も年月の経過を表していたのですが、如何せん、ケイト・ウインスレットの瞳が若いままの輝きで年寄りの瞳になっていなかったこと。これがとても残念でした。
劇場公開もわずかな映画館のみで、且つ上映回数についても、一日一回のみ。
こういった一般受けしない文学作品ベースの映画は、派手な商業映画の陰に隠れて忘れ去られるというのは、少々寂しい思いをどうしても持ってしまいます。
映画が、DVD化した時には、またゆつくりと鑑賞したいと思います。